SUBSYSTEMとは
SUB(Subcutaneous Ureteral Bypass)システムとは尿管閉塞の治療として、尿管とは別に腎臓-膀胱バイパスを設置するシステムです。 尿管ステントより径の太い2本のカテーテル(ロッキングループ腎瘻カテーテル、膀胱瘻カテーテル)のうち、ループカテーテルの先を腎盂に、 ストレートカテーテルの先を膀胱に設置し、尿管を通さずに2本のカテーテルを一旦皮下に出して、皮下に設置したポートでつなぎます。 腎臓から出た尿はポートを通り、尿管を迂回して膀胱に流れ込みます。尿管とは別のルートを確保するので、尿管断裂や術部からの尿の漏れのリスクを回避出来ます。 また、ポート部から砂状の結石などの洗浄を行うことが可能なため、再閉塞のリスクを軽減する利点があります。
当院の獣医師はSUB SYSTEMのMASTERCLASSのトレーニングを修了しました。
実際の症例
日本猫 7才 去勢オス
食欲がなく、嘔吐するとの事で来院されました。血液検査で腎機能の著しい低下がみられました。 超音波検査では尿管の狭窄および腎盂の拡張が認められましたが、完全閉塞ではなく尿が出ていたため、点滴治療をしていました。 しかし、改善がみられなかったため、SUBシステムを用いた手術を行いました。 まだまだ新しい手術ですので、予後合併症についてもわかっていないこともあります。 すべての症例のSUBを推奨するわけではありませんが、今まで治療できなかった症例にも対応できる可能性があるのかなと思っています。
半導体レーザーとは
非常に高いエネルギーをもった人工の光を利用した様々な治療に役立つ最新の治療法です。 切開、止血、蒸散、疼痛緩和、抗腫瘍に関する効果などの特性があり、様々な用途に使用できます。 当院では飛鳥メディカルのDVL-20を使用しております。
抗腫瘍治療
体表のイボを鎮静、局所麻酔にて取り除くことが可能です。切除部位や蒸散部位は出血もなく縫ったりする必要もありません。 動物への負担が軽い治療です。その子によっては全身麻酔が必要なこともあります。
IICG(インドシアニングリーン)という色素が、レーザー光をよく吸収することを利用した治療法です。ICGを腫瘍に注入したり、塗布したの後、レーザーを当てることで腫瘍組織を選択的に凝固して蒸散することができます。
マイルドレーザーサーミア(ハイパーG法)
出力を調整したレーザー光をプローブを回転させることにより拡散させながらレーザーを体内に照射します。これにより、組織侵襲の少ない温熱治療が可能になります。
レーザーアブレーション
レーザーファイバー先端を腫瘍内に差し込み、レーザーを照射し、腫瘍を内側から蒸散します。摘出が困難な腫瘍や外科侵襲の強い手術を希望されない方に大変効果的です。
疼痛緩和 創傷治癒促進
椎間板ヘルニア、膝蓋骨内方脱臼など痛みを伴う疾患、また骨折後の疼痛緩和などに用います。 半導体レーザーは鍼を使わない鍼灸治療とも言われ、患部に当てることで痛みを伴わず疼痛緩和をする事が可能となります。 また、椎間板ヘルニアの初期の場合、お薬とレーザー照射のみで改善が見られる事もあります。ネコちゃんの口内炎疼痛緩和にも使用します。 血管拡張や血液量の増大で創傷治癒の促進が期待できます。術後の子にも用います。
レーザーを用いた優しい手術
止血・切開
レーザーメスとして使用します。出血や組織への侵襲が少なくてすみます。また血管径にもよりますが縫合糸が不要で手術ができます。
毛様体光凝固術(緑内障の手術)
レーザーを強膜の上から照射することにより毛様体を凝固させることにより、眼房水の排泄を促進させて眼圧をさげることによる緑内障の治療です。
逆まつ毛治療
逆まつ毛は生えてくるたびに繰り返しの処置が必要になることがありますが、レーザーで毛根部を組織破壊することで半永久的に脱毛することができます。
歯周病治療
3歳以上の80%の犬が歯周病を持っています。歯石を除去した後、レーザーを歯周ポケットへ照射することにより、歯周病菌の殺菌と歯肉の引き締め効果が得られます。
経皮的椎間板減圧術(PLDD)
椎間板ヘルニアで後肢が麻痺している状態ですが、飛び出して脊髄神経を圧迫している椎間板物質を引っ込めるために体表面から針を椎間板の中心に差し込み、 レーザーファイバーを使ってレーザーで椎間板の中央部分を蒸散し圧を下げるという処置です。ハンセン2型の椎間板ヘルニアにのみ適応になります。